かん吉との日々

イヌとの生活を通して考えたことなど

そんなに嗅覚は優れていない?

よく,イヌの嗅覚は優れているというけど,かん吉はどうだろうか。

自分のご飯には反応するけど,ヒトが食べるご飯は結構いい匂いがすると思うのに無頓着。

人、イヌと暮らすー進化、愛情、社会 (教養みらい選書)』によると,イヌの嗅覚はヒトの10万倍鋭いと言われてきたが,実は科学的根拠はないらしい (p.34)。

そういう主張のもとになったのは,19世紀フランスの脳科学者であったポール・ブローカの発言らしい。あの発話に関すると言われる脳領域の「ブローカ野」のブローカである。その後,その発言は科学的に検証されることもなかったのだとか。

確かに考えてみると,匂いのように強さを定量化しにくいものについての感覚が,単純に10万倍とか言えるのってちょっと怪しい。疑ってみるべきだった。まさに,「ぼーっ」と生きていては叱られる。

イヌについてだけでなく,世の中には,さも「科学的事実」と考えられているようなことが,実は大した科学的根拠はなかった,ということは結構あるのかもしれない。何事も,その由来を確認するようにしたいものだ。

視覚や聴覚に比べると嗅覚は定量的に研究することがさらに難しそうだ。味覚に比べても,嗅覚は関係する分子の種類やそれに対する受容体の種類が圧倒的に多い。「xx倍嗅覚が良い」,なんてそう簡単には言えないだろう。匂いの種類によっても違うはず。また,ヒトがワインやコーヒーの違いがわかるようになるように,学習によっても変わる。

かん吉はというと,大好きな肉のおやつをあげても,ちょっと目を離すとどこにあるかわからなくなって(見えるところに置いたはずなのに),違うところを探したり,あきらめてしまったりする。

目が悪いのか,鼻が利かないのか,はたまた根性がないのかよくわからない。目も鼻も悪いから飼い主も見分けられないのだろうか? 動物の認知を知ることは難しい。